ストレスチェクは大きく分けると
ショックな出来事や仕事上のトラブル人間関係のトラブルなどの心理的なもの
騒音や厚さなどの物理的なものがあります。
ストレスが高まると交感神経が興奮し、アドレナリンが放出され、身体が戦闘態勢になるのですが、それが長い間続くと、内蔵や神経に大きな負担になり、様々な症状が現れます。
ストレスチェックでは、ストレスの原因になる、
(A群)仕事のストレス
(B群)ストレスの結果心身に現れる症状の程度質問紙によって、測定しているのです。
(C群)のソーシャルサポートは、職場や家族などの人によるサポートを指します。
大変な仕事であっても上司や同僚、家族のサポートが良ければ、ストレスは低くなります。
仕事外のストレスは家族の問題が多いのですが、プライバシーの問題があるので、この項目は調べていません。仕事の習熟度などの個人市トレスに絡みますが、この項目も調べていません。
まずA群の仕事のストレスの欄とB群のストレス反応の欄で点数の高かった項目を見ます。
そしてストレスチェクを受けた時期の仕事の状況を思い浮かべてみてください。この時期は締め切りが迫って業務量が多かったから点数が高かくなったのだな、そういえば動悸することもあった、と気づいたりします。もしもストレス点数が高いのに、ストレス反応の点数が意外に低い場合は、周りが助けてくれたのかもしれません。我々は忙しいときは自分を振り返る余裕がありませんし、時期が過ぎればじきに忙しかったことなど忘れてしまいます。このような振り返る習慣をつけることで、より早期に不調に気付けるようにしていくのです。
「高ストレス=病気」ではありません。むしろ頑張っている人、無理をしている人の点数が高くなる傾向があります。しかし、そのまま放置するのはよくありません。北里大学の教授の調査によりますと高ストレス状態を放置すると、男性の場合、6.6倍女性の場合は2・8倍も休職に追い込まれるリスクが高いという結果が出ているのです。
解決のために
まずはストレスの原因への対策を考えます。長時間残業が原因なのか、人手不足が原因なのか、職場の人間関係が原因なのか、原因によって対応策が違ってくるのは当然なことです。
(A群への対応策)しかし原因がすぐに解決できないことも多いので、上司や同僚に理解や支援を求めたり。家族に相談したりして、サポートを求めます。(C群への対策)同時にストレス反応はそれ自体がつらいものですから、様々なリラクセーション法を活用しましょう(B群への対策)ストレス状況を放置して病気にならないように、早めに気付いて積極的に解決に動くことが大切です。
労働者は日々、様々なストレスにさらされていますが、彼らの心身の健康を保つためには当事者である労働者はもちろん、管理監督者、事業者、保健医療従事者が手を取り合いストレスに立ち向かう職場を作っていく必要性があります。その組織体制の中で保健師は大きな役割を担っています。職場環境改善の視点から保健師が取り組むべきメンタルヘルス対策を考えてみたいと思います。
平成29年厚生労働省「労働安全調査」で、強い不安、ストレス、悩みを書かけている労働者の割合は、58.3%多くの労働者がストレスを抱えた状況で働いていることからのわかるように事業場においてより積極的に心の健康の保持増進を図ることが重要な課題となっています。
事業所が取り組む対策には、「労働者のセルフケア」「不調者を出さない組織、職場環境づくり」の2点が必要です。しかし、いくらセルフケアや職場復帰支援を実施しても、不調者が続出するような劣悪な職場環境、管理監督者のマネジメントの不十分さを放置している限り、問題が解決することはありません。また、職場のストレッサー(ストレス要因)への対処は、個人の努力だけでは難しいものがあります。つまり、「不調者を出さない組織、職場環境づくり=職場環境改善」がカギとなってくるのです。厚生労働省の「心の健康の保持増進のための指針」では、職場におけるメンタルヘルスケアを推進するためのポイントが示されていますが、中でも特に重要と考えられているのが「ラインケア」です。ラインのよるケアは日常的に現場の管理監督者が行うケアです。主なものは①職場環境の問題点の把握と改善②「いつもとちがう」部下の把握と対応③部下からの相談への対応④メンタルヘルス不全の部下の職場復帰への支援―の4つとなります。
一般に、企業における「職場環境改善」の取り組みは、専門知識がない、人事労務担当者が主体となり、管理監督者や時間をかけれない産業医が行うものというイメージを持たれていることが多くあります。
しかし、企業契約の保健師の役割は、厚生労働省の「心の健康の保持増進のための指針」に明記されているように、保健師はライン講習をはじめメンタルヘルスケア等を主導におこなうことができる立場にあります。時間をかけて、従業員と接する時間が取れる専門知識を持つ保健師の役割が重要です。「保健師は健康な人と不調者の境界に立っている存在です。」不調者のどのようなところに視点を置き、注意してみていかなければならないのかという点についてもっとも理解している立場にあります。健康は連続しております。健康な人がいきなり病気になるわけではありません。このことを理解できる保健師が、メンタルヘルスケアに取り組むことに意味があるのです。
保健師は、日常的にかかわっている健康支援活動のなかで、メンタルヘルス活動も行っています。
保健師の重要な活動
1、健康づくり活動です。
心と体の健康の保持促進をし、メンタルヘルス不調にならないように支援したり、早期に不調に気付くように働きかけることができます。
2、日常健康管理業の取り組みです。
職場を巡視することによる労働者の仕事と健康の適合性のチェック、健康診断時のヘルスインタビュー(問診)、検診企画や事後措置(報告業務)にかかわることで、管理監督者との太いパイプを構築し、部下からのメンタルヘルス聴取や不調時の相談者となることです。また、健康相談対応もこれに当たります。
職場におけるメンタルヘルス対策の一次予防として保健師が主に実施できること。
管理監督者向けのメンタルヘルス研修会の企画、準備、実施。評価を行うこと
教育研修の機会を通じて労働者や管理監督者との信頼関係や相談しやすい関係性を築くこと。
◇管理監督者は、産業医への相談の可能性は大きいが、一般従業員は難しい状況にある。
メンタルヘルスに関する広報や啓発活動の企画、準備、実施。評価を行うことです。
◇保健師はストレスチェック実施者であり、客観的な判断が可能、従業員も相談ができやすい。
さらに、保健師の立場として日ごろから、
日常の活動・調査等から職場環境を把握し、事業者や管理監督者労働者と情報を共有する。
職場環境の把握に基づいて事業者や管理監督者・労働者が必要な対策を検討できるように支援を行っていくなど、職場環境等をしっかり把握して、改善に取り組んでいくことも大切です
※必要な対策=(作業環境、作業方法、労働時間などの仕事の質・量の調整、コミュニケーションや職場組織・風土など多角的な視点から主体的に取り組めるような情報提供、チェックリストなどの紹介・助言支援)